2008年12月14日日曜日

「グロソブ」は本当に売りなのか?

今週の日経ヴェリタスは「グロソブ」問題。国民的ファンドに成長したグロソブは今たいへんな危機にあるという;
日経ヴェリタスonline [購読者限定サイト]: "巨艦グロソブどこへ行く、米欧金利低下で細る収益、減配に現実味。"

グロソブに限らず世界のソブリン債に投資する投信は軒並みたいへんな価格の急落に見舞われている。個人のお金が外債に流れるのを歯がゆく思っていた人たちが「ザマミロ、それ見たことか」とはしゃぐのは分からないでもないが、本当に売りなのか。

確かに現在は「円高」の流れにある。ついにドルで見て88円。円高こそが日本の国益であると断言する榊原氏が指導する民主党が勝ちそうだし、外債に投資している投資家にとっては当面逆風が吹くことは間違いのないところ。グロソブは平均レベルから2割、また普通の外債ファンドは3割下落している。株価の急落と同じようなペース。売ってしまいたいと恐怖心に駆られるのはよく分かる。おいらも今日一日熟考した。でもやはりホールドで行く。理由:
  1. 円は所詮ローカルカレンシー。たまたま円高になっているにしても世界標準から見れば突発的な現象でしかない。しょせん円高バブル。自分の財産を測る尺度はあくまでも基軸通貨であることを忘れてはいけない。為替は上がったり下がったりするものなのである。

  2. 世界の金利は確かに低下傾向にあるから、外債ファンドはたいへんと言うが、円だったらもっと高金利が享受できるのか。投信会社への信託報酬を払っても外債の方がいまだに遙かに金利が高い。

  3. 高齢者にとってお金は使うものであって、墓場に持っていくものではない。外債(ストレート債)を買えば手数料を節約できるが、外貨で利金を貰っても面倒くさいだけ。円で利金を払ってくれるグロソブはとても便利。元本がどうなろうとそれはこどもたちが心配すること。おいらには関係ない。そもそも保険会社の個人年金なんかに払い込んでしまうと元本はゼロになるのでグロソブの方がよほど子孫のため。

  4. 短期的な円高はやむをえない面がある。世界が大不況に陥っているなか、日本の輸出を抑えることが世界経済の回復の鍵だから。これはニッポンの国際貢献。日本の基幹産業への打撃はすさまじくもとより長続きできるものでもない。経済がダメになれば当然円安。榊原センセーがどう言おうと、日本はしょせん「物作り」でしか生きていけない国なのだ。円高こそ国益というのは10年早い。

  5. 為替であるが、今後1ドル70円になるという観測もあるが、そもそも円の歴史を考えてみるがいい。円は明治4年に発足したが、その時のレートは「1ドル=1円」。日本政府は借金で分不相応な戦争を繰り返したので第二次大戦までは一貫して円安が進む。戦後360円で再スタートした円は一転して円高方向に進む。最近ようやく「1ドル=100円」で定着しそうになっている。デノミがあれば1ドル=1円。万物は流転して元に戻る。ちょうどこの辺りが一番おさまりが良いのである。


よって外債はホールドすることにしたのである。投資には長期的な視点が必要。

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